時は止まらないから、今を大事にしたい(ある日の保育園からの帰り道)

保育園からの帰り道、ツクシが生えているところがある。
ツクシを摘んで帰るようになって3日目、もう立派なツクシはない。
「なんでなの?」がっかりする息子。
でも、少し離れたところにツクシを見つける。
緑がかったネズミ色の胞子を抱えたツクシ。
「これが飛んで行って、ツクシになるんだよ。」
「ツクシが終わると、緑でつんつんしたスギナが出てくるよ」
そんな話ができることが嬉しい。

手をつないで、家まで歩いて帰る。
「ぼくはウチガワ、ママはソトガワ。ママはソトガワ、守ってね」
まだ頼りにされていることで、幸福になる。

帰宅途中の神社で枝を拾う。長くてまっすぐな枝が欲しいようだ。しだれ桜の枝をひっぱり、「これ、とって」
「ダメだよ」と言うと、「じゃあ、ママ、長い棒、さがして」
ママが懸命に探した長い棒のうち、3本が気に入ったようだ。満足するママ。気に入った棒を持って、走っていく息子。

「時よ、止まれ。お前は美しい」と一瞬、思い浮かべる。
だけど、時は絶対に止まらない。止めようとしても、止まることはない。
あんまりかわいくて、今が楽しくて、このままにしておきたいと思っても、それは、できない。当たり前のことだけど、気づけないことが多い。
息子は成長する。私は歳をとる。息子が私に関心をもち、全面的に頼ってくれる時期は長くは続かない。

また、私は息子の将来を見たい。これから、つらいこと、悲しいことがあると思う。でも、嬉しいこと、楽しいことも、絶対ある。

だから、この黄金とような一瞬は、大事に心の中にとっておきたい。今を大切にして、毎日を過ごしたい。